値下げ対策その2(アフォーダビリティ)

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前項に続き、値下げの圧力に関してその理由を説明していく。

リアルにお金がない(アフォーダビリティが低い)

値下げ交渉されてしまう要因、3つ目は「リアルにお金がない(アフォーダビリティが低い)」場合である。

アフォーダビリティとは、その商品に対して支払えると思えるお金の余裕度、許容度のことである。

これはざっくばらんに言えば

「いくらまで出せるか、また出す気があるか」

ということだ。

企業においては1億円の機械設備を購入できる余裕があるか、もしくはその機械に1億円以上の価値を感じるか、ということである。

個人で考えれば2千円のステーキランチに価値を感じた時に躊躇なく支払えるか、ということである。

言い方を変えればフトコロ具合、とも言えるだろう。

このとき、リアルにお金がなければ自ずと出せるお金の上限は決まる。

ローンや借金を考えなければ、その人の全財産が最大となるし、生活費等を考慮すれば出せる上限金額は決まってくる。

その出せるお金、もしくはだそうと思える金額のことをアフォーダビリティと呼ぶ。

「無い袖は振れない」

このとき、アフォーダビリティが高い企業や個人であれば、高価な価格設定をしても価値を感じてもらえたら購入してくれる可能性がある。

この場合、アフォーダビリティの金額以内であれば、後はそのものが持つ価値との見比べになる。

いわゆるコストパフォーマンスという考え方だ。

それに対して、価格以上の価値を感じているけれども、無い袖が振れない状態、つまり欲しいけどリアルにお金が足りない場合には「値下げ要請」が発生する。

「とても素晴らしい商品だけれどお金がこれしかない。何とかこの値段まで値下げして売ってもらえないか」

という要請になる。

このとき売る側には選択肢がある。

「いやいや、そんな値段では売れません」

と断るか、

「わかりました。値引きしましょう」

と歩み寄るパターンだ。

後者の場合は、売上を追っている場合に発生する。

利益率が多少下がっても、まず売上や契約件数を優先したい場合に選ばれる選択肢である。

これは売る側の都合に大きく左右されるだろう。

在庫過多の場合には在庫処分という意味で多少の安売りをしてもいいかなと思うが、予約注文が殺到していて品不足の状態であれば値下げに応じる必要はない。

スポット的か否か

ここで大切になるのが、そのアフォーダビリティの低さは慢性的なものなのか、スポット的なものなのかを見極めることだ。

例えば一般大衆向けの商材というのは、常に価格競争に曝される。

なぜなら一般大衆というのはいつもお金がないからである。

私自身を含めて、心当たりがある人も多いと思うが、AのパンとBのパンのどちらがグラムあたりで安いのかを比較してしまうのが一般大衆なのである。

またBtoCビジネスに関わる企業(小売店など)もまた、顧客である一般大衆の動向に合わせて商品を並べて競合他社と争うために、いかに安く仕入れるかに血道をあげている。

こういうところがお客様になるビジネスは非常に厳しい。

toC:「客層」の設定

結局のところ、価値ある商品を作っているのにそれが報われないのは、相手にしている客層にお金がないからなのである。

アフォーダビリティが低いお客様を相手にしているからである。

身近なものは食品であるが、日用雑貨や服飾、散髪なども含まれる。

要するに一般大衆の、その財布から直接お金をいただく商材、およびそれに直結してしまうような商材はアフォーダビリティが低くなる。

これに対してアフォーダビリティが高い商材について考える。

まず先述の一般大衆に対して、富裕層の財布を狙っていくタイプの商材がある。

可処分所得が多い人々に対し、高付加価値で高価な商材を売っていくというスタイルだ。

このケースの場合には、「個人」というお客様を相手にするので、後述する対・企業のビジネスで重視される「経済合理性」よりも「心理的要素」による価値を提供することがポイントになる。

プラスの方向で行けばブランドイメージ、マイナスの方向で行けば不安やリスクの回避という、いわゆる精神面での調略が有効なのがこの手の商材だ。

例えばハイブランドの服飾や腕時計はこれにあたる。

ハイブランドの腕時計が百万円だとして、千円の腕時計と比較すると「時間を確認できる」という機能は同じである。

もちろん使用されている材料やデザインといった品質は高いのであるが、機能と材料費を考えると1,000倍の価値まではないかもしれない。

しかし優れたデザインとブランドイメージに付加価値を感じる人であれば、購入する。

またマイナスの方向では、不安や恐怖を利用する手もある。

生命保険などはその代表だろう。

「不安」「恐怖」を顕在化させて、その解消や軽減を価値として提供する。

その「価値」を感じた瞬間に、スッと財布から出せるものがあるか。

つまり支払えるだけの余裕、可処分所得があるかどうか。

これがアフォーダビリティが高いということなのである。

価値が高いと感じたとしても、それを支払えるだけの余裕がなければ気前良く支払うことはできない。

toBの場合:コストパフォーマンスを重視

続いて法人客について。

法人相手、つまりBtoBビジネスの場合には、ひたすらにコストと使用価値のバランスが追い求められる。

企業はもちろん利益を上げるために活動している組織なので、利益に貢献できるかどうかが重要視される。

これは単に安ければ良いというわけではなく、求められる性能をオーバースペックにならない程度で満たし、かつ運用面でのリスクが低く(供給安定性が低いなどはリスクが高い)、その上でコストが安いものが選択される。

そのため優先される項目としては性能、運用安定性、価格の順になる。

性能が同等、運用安定性が同等となった時に初めて価格競争が発生する。
性能が劣る物とは比較がなされないのである。

企業の場合には、このようにシビアな目が向けられる。

個人客には有効であった心理的な付加価値づけ(ブランドイメージ等)が重視されにくい。

イメージや気分に左右されない、実力勝負となる。

これは一見するとやりにくいが、良い点もある。

それは企業の買い物が「経費」となる点である。

企業は最終的な利益に課税をされるので、その途中でかかった材料費や設備投資の費用は経費として計上され利益と相殺されていく。

そのためもし利益が多く出そうな場合には、税金対策も兼ねて投資を行う場合がある。

税金で取られてしまうくらいなら経費として投資をしてしまおうという考え方だ。

また利益が多く出る場合ではなかったとしても、やはり経費となるため企業としては投資という考え方になる。

もちろん赤字の会社に無理なのだが、このような切り口もあるために企業相手の商売というのはアフォーダビリティが高いことが多い。

すなわちアフォーダビリティが高い商材に関連すれば値下げ要請は受けにくくなる。

アフォーダビリティが高い商材とは、私の研究によれば下記がある。

  • 税金等が財源のもの
  • 人命・安全に関わるもの
  • 法令上必須のもの
  • マニア向けのもの

続いて詳しく説明していく。

続き:値下げ対策その3:狙うべき商材・業界

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