天賦の才

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知識習得

被購買力についての説明も、いよいよ最後となる。

ここまでで理論的、技術的なことは大方、語り尽くした。

あとは細部を丁寧に仕上げていけばさらに洗練された営業マンになれて、被購買力は高まっていくであろう。

さてそんな被購買力の最後を締めくくるのは「天賦の才」についてである。

私はここまで、理論と技術を述べてきた。

しかしながら世の中には、そのようなもの無しでも売れている営業マンが実在する。

しかも彼らは「理論なんて頭でっかちになるだけ。そうじゃなくて足を動かせよ!」という言い方をすることが多い。

真面目な人だとそれを真に受けて

「そうか!足だな!訪問件数だな」

と無謀な戦いに入ってしまうのだが、結局は売れなかったりする。

これはなぜかといえば、その売れている営業マンには天賦の才があるというだけの話なのだ。

その人のこれまでの生き方が、育ち方が、知らず知らずのうちに営業マンに向いていて、被購買力を社会人になるまでに高いレベルにまで養成していた、というケースである。

そしてそのようなナチュラルボーンの凄腕営業マンは、その天賦の才ゆえに本人が気付かないところで強い技術を使っており、それゆえに被購買力が高く、結果的に売れてしまうのだ。

そのため被購買力について語ることについて、最後の締めくくりはこの天賦の才とした。

天賦の才① 第一印象が「凄く良い」

天賦の才としてまず第一に私が思いつくのは「第一印象が”凄く”良い」である。

これまで、基礎編と強化編において第一印象を良くするための方策を説明してきた。

服装や笑顔、ボディランゲージなどのテクニックである。

天賦の才がある人は、この第一印象が特に努力せずとも抜群に良い。

先述のような対策を特に施さなくても、誰からも好感を持たれて、思わず相手も笑顔にしてしまうような第一印象を持つ人がいる。

まずは生まれついての顔の造形が美しかったり、もしくはとても愛嬌のある造形をしている場合である。

営業においてイケメンや美女は有利とされるのは、残酷だが疑いようのない真実なのである。

さらにその上、笑顔の作り方や仕草に親しみを含んでいる。

これを天賦の才と呼ばずして何と呼ぶ、ということである。

また、第一印象とは、その人のこれまでの人生の集大成であると私は思う。

良い生き方をしてきた人は、良き人間関係を体感しており、そうであるがゆえに初対面の人に対しても親しみの気持ちを持って接する。

ゆえに自然と親しみある笑顔と動作が出せて、ますます人間関係を良好なものにしていく。

後述するが被購買力の3要素の「善き友」性も、ここで強く印象付けられる。

「この人は本当に善い人なんだな」

という第一印象はとても強い補正が付く。

天賦の才② 地アタマが良い

2つ目は、地アタマが良い、である。

言い方を変えると「学習能力がとても高い」

これは学歴とも多少は相関するが、地アタマが良いと新しいことをすぐに理解できたり、情報を記憶できる容量が大きくなる。

新しいことの理解の速さは営業マンとしての「実用性」に直結する。これは早ければ早いほど良い。

記憶力に関しては、相手のパーソナル情報(出身地、家族構成など)や、お仕事に関して以前の問合せなどを記憶しているところが大きい。

「一度しか話していないのに、憶えていてくれたんだ」

という感情は、相手にとって大変嬉しい感情となる。

また、お仕事の話に関しても、理解が早い人は打ち合わせもスムーズで、大きな間違いが起きにくい。

理解力の低い人だと「だからそれはこういうことで…」と相手をイラつかせてしまう。

そのため地アタマが良い人というのも天賦の才であり、この才能があるがゆえに多くのケーススタディを積み上げることができて「実用性」が強まっていく。

そして、相手の個人情報をよく記憶できているがゆえに相手に好感を持たれ、ますます機密情報を聞き出せてしまうのである。

天賦の才③ リアルに善い人である

先に述べた天賦の才①の第一印象が凄く良い、でも登場したが、それまでの生き方が恵まれた人は、その生き様が第一印象になって顕れる。

そしてそれは、ともすれば外見が良い人が、加えてテクニックで底上げをしているパターンもある。

このテクニックを使おうという概念は、残念ながら「普通の人」である。

この場合は真の善人ではないケースもある。

対して、この「リアルに善い人」というのはそういった打算や計算がない、真の人間性でもって善い人ということになる。

例えば相手のトラブルに親身になって手助けを申し出たり、相手の不幸には一緒になって悲しみ、相手の祝い事は一緒になって祝うという人間性である。

重い荷物を持ったおばあちゃんを助けるとか、お客様がトラブルで困っていたらなんとか協力できないか、社内を走り回って調整する等の行為である。

これらは、もちろん法的な義務はないし、見返りを求めてすると不自然な動きになる。

高度に効率化された現代日本の、特に都会においては希薄となった概念と言える。

こういった、一種の前時代的な「人間らしさ」という情緒を、ナチュラルに持ち続けていられる人は希少であり、そうであるがゆえに相手に好感を持たれる。

友達になりたいと思わせてしまう。

先ほど、仕事でトラブルになったお客様を助けるという事例を述べたが、この助けを申し出るときに「助けてやったんだから、後ほど…ねぇ?わかってますよね?」というようなスケベ心が透けると台無しである。

多くの人はこのスケベ心を隠したいが、その雰囲気を消せない。

曇りなき善意から繰り出される無償の親切。これが人の心を強力に掴む。

だからこその天賦の才のひとつなのである。

天賦の才④ 成果に対する美学がある

営業マンである以上は、目標数値が与えられて、それを達成しなくては…と思うのが普通だ。

もしくは、この目標を見てみぬふりをして、上司に怒られるか否かだけで判断をする人も多い。

天賦の才「成果に対する美学がある」とは、外部からの追い立てや、尻叩きなど関係がなく、自分自身の内側から、燃え上がってくる「炎」によって自分の原動力とすることができる才能である。

このような概念ではよく「モチベーション」や「インセンティブ」という言葉がよく使われるが、これは外部からの金銭的な報酬や、賞賛という精神的な報酬によるものであり、あくまでも外部から着けられる「火」である。

しかし天賦の才を持つものは、このような外部からの「火」を必要とせず、自分の内側から成果に対する執念(炎)が燃え上がってくる。

この執念は、「やらなきゃ」「怒られる」という類のものではなく、その目標が達成できないと自分が自分で許せない、カッコ悪いと強く思う「美学」から湧き上がる炎である。

そのため「ものノルマはクリアしているんだから、もう今期は頑張らなくてもいいじゃないか」という思考回路にならない。

「ここで緩んだら、ダセェな」という自分に対する美学が、たゆまぬ努力を継続させるのだ。

プラス(褒められる・金銭)やマイナス(叱責・解雇)という外部からの動機付けに頼らない。

これは多くの人には難しい概念であるから、やはり天賦の才という他ない。

天才の「カケラ」を装備する

ここまで、天賦の才を持つ人について解説した。

  • 第一印象が凄く良い
  • 地アタマが良い
  • リアルに善い人である
  • 成果に対する美学がある

これらの特性は、一種の特殊能力であるから、これらの要素を持っていないからと言って落ち込む必要はない。

イケメンで良い笑顔を持ち、地アタマも良く高学歴、打算なき親切心を持っていて、かつ成果に美学を持っていてストイックに取り組んでいく営業マン、そんな人がいたらこれは最強すぎるし、なんでも売れる。

そのような天才にならずとも、先に述べた天賦の才能の要素のうち、ひとカケラでも自分に取り入れることができたなら、どうだろうか。

第一印象を突き詰めていくための研究をする。

地アタマを補うべく勉強する。

人間性を磨くための心がけを始めてみる。

成果に対して、真摯になってみる。

これらを意識できた時から、天賦の才には及ばないまでも、その要素の幾分かは装備ができる。

そして気がついたら、その好ましい要素が自分の身体に馴染んでいるかもしれない。

自分に天賦の才がなくたっていいのだ。

天才のカケラは、訓練によって身につけることができる。

そのことを言語化しようとした試みが、この「被購買力」だった。

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