革靴の悪臭回避方法

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接近戦

口臭シャツと続いて営業マンが気をつけるべき「嗅覚」について説明してきた。

最後に靴(足)のニオイについて説明する。

野原ひろしを笑えない

クレヨンしんちゃんこと野原しんのすけ氏の父、野原ひろし氏は作中で、

「靴下がめっちゃクサイ」という特徴を持っている。

漫画やアニメではこれが笑える特徴として描かれているのだが、リアル世界では全然笑えない。

どんなに良い営業マンでも「足クッサ!!」とお客様に思われてしまったら、

「いい人なんだけど、足がね…」

「優秀なんだけど、ちょっと足がな…苦笑」

と、要らない減点がついてしまう。

やはり我々人類は、いくら進化したとはいえ、動物だ。

そんな動物の本能を刺激して、強く印象を残してしまう「嗅覚」。これに営業マンはもっと敏感になったほうが良い。

「客先では靴は脱がないから大丈夫だろ」と思っている人もいるかもしれない。

しかし、お客様の工場などは靴を履き替えることもあるし、オフィスはスリッパに履き替えてください、というお客様もいる。

また、昼食のためにお客様と蕎麦屋などに行こうものなら、座敷に通されてそこで靴を脱ぐ…というパターンは往々にしてある。そこであなたの靴や靴下から悪臭が放たれたら…想像するのも恐ろしいことだ。

雑菌との戦い

シャツの記事でも少し触れたが、ニオイというものは基本的に雑菌が発生させる。

革靴の場合はシャツよりもケアが難しい点がいくつかある。

シャツと違って洗濯機で洗えないし、シャツのように漂白剤に漬け込んで殺菌することができないからだ。

なお靴のニオイは、モラクセラ菌由来の雑巾みたいなニオイと、硫黄系のウ○コみたいなニオイと、納豆系のニオイが複合するので、とてつもなく臭くなる。

僕は無知な頃に、最も悪い方法(後述)で革靴に雑菌を大繁殖させてしまって、足がものすごく臭くなったことがある。

それが原因で学び始めたのだが、当時はすごく恥ずかしかったし、他人に臭いと思われていないか、常にビビっていた。

シャツのケアと同じく、革靴も雑菌との戦いであると知り、適切に対処すれば必ず解決できる。

同じ靴を連日で履かない

まず絶対守ってほしいのがこれだ。

昨日履いた靴を、今日も履かない。

これから、他にもいろいろな対策テクニックを紹介していくが、何よりもまずこれだ。

これだけで、もう7割方の勝負がついていると言っても過言ではない。

雑菌は、水分と、エサ(皮脂)と、適切な温度(体温付近)があると最も元気になって増殖する。

そして皮脂をエサにして、ニオイ物質を出す。

そこの条件が揃った状態の時間を増やせば増やすほど、雑菌のニオイ物質の生産効率は良くなっていく。

ニオイ生産工場を活況にしないこと。

もしあなたの靴が既にクサイ場合は、既に革靴がニオイ生産工場としての条件を整えていることを意味する。

あまりにも進行してしまうと、もはや救済不能となってしまって、買い替えするしかないこともある。

余計な出費を減らすためにも、菌のニオイ生産効率を著しくダウンさせる対策が必要だ。

そのためにはまず、同じ靴を連日で履かないこと。まずこれだ。

連日で履くことさえしなければ、水分が供給されない。これだけでだいぶ違う。

雑菌たちは、水を断たれてニオイ生産の仕事を中断されてしまう。

そして乾燥して死滅して、またイチからのスタートを余儀なくされる。

これが大切だ。

しかし連日で履いてしまうと、雑菌が死滅せず昨日まま温存されてしまう。

そこに追加で水分と皮脂が供給されて、雑菌たちは「昨日の続き」ができてしまう。

こうなるともうニオイは爆増していくしかない。

つまり雑菌たちを兵糧攻めして、作業を中断させまくることが大切なのだ。

繰り返すが、毎日同じ靴を履かないだけで、大体は解決する。

お金もかからないから、まずはこれを徹底してほしい。そのためには、3足ほどの革靴を用意して、ローテーションしよう。

乾かす時間は長ければ長いほど良い。

なお今、僕は5足でローテーションしている。

もうニオイの悩みからは解放されて久しい。

乾燥の加速と徹底

先述の通り、まずは同じ靴を連日履かないで、しっかり乾燥させてから、再び履くということが大切だ。

その「しっかり乾燥」の度合いをより高めるためのアイテムを紹介する。

炭草花シューキーパー


これは炭のフレークが詰められた袋で、靴の中に入れれば湿気を吸ってくれる。

また炭は多孔質なので、既に発生したニオイを吸着してくれる効果もあるという。

ただし注意点としては、脱ぎたてホヤホヤの靴とか、雨に濡れた靴にそのまま放り込まないこと。

いかに吸湿効果があるとは言っても、ホヤホヤ状態の靴はまだ水分を十分に空気中に放散できていないから、その放散を押し込めてしまっては本末転倒だ。

(僕は最初の頃、雨に濡れた靴に即・放り込んで翌日見たら、中敷にうっすら白カビが湧いてしまいとても驚いた。これは水分がまだ残っているうちに、水の逃げ道を塞いでしまったから起きた)

タイミングとしては脱いでから一晩、水分を蒸発させて、表面乾燥させた後に、翌朝これを装着していくのが良い。

なおこの炭草花シューキーパーも当然、吸湿すると湿っていくので、休日は日光に当てて干して復活させよう。

雨の日は要注意

雨の日に履いた靴は最も注意すべき状態にある。

汗だけでは染み込まないレベルの深さにまで、水が入ってしまうことがあるからだ。

こうなると、先述の炭草花を入れる前の初期の自然乾燥が困難になる。

ドライヤーで乾燥させる手もあるが、高熱をかけるのは天然皮革には良くないし、自分としても作業が大変だ。

そのためシャツの記事でも紹介したがコンプレッサー式除湿機の乾燥した風に連続して当ててあげるのが、雨上がりの靴には最適かと思う。

この除湿機の風が出てくる高さに、椅子などを置きつつ、革靴を立てかけて内部に乾燥した風が入り込むようにセットすれば、数時間で最も深刻な状態は脱することができる。

そして翌朝に炭草花を入れてあげれば、水分はちゃんと吸湿してくれて危機を免れることができる。

消臭スプレーは逆に危ない

消臭スプレーを使っている人もいるかもしれない。

かくいう僕も以前は使っていたのだが、これはただの対症療法であり、根本治療ではない。

つまり菌が発生させたニオイ物質をその場で分解除去することはできるのだが、菌は全然死んでいないので、また再生産されてしまって結局臭くなる。

対症療法はあまり意味がない。

ミョウバン水スプレー

次に、ミョウバンの水溶液を作って足にかけておくというテクニックもある。

雑菌たちは酸性の環境を好む特性があるので、アルカリ性であるミョウバン水を足にかけておくことでニオイの生成を抑制するという狙いのテクニックだ。

確かに、これは自分の足自体は臭くなりにくくはなる。

しかし靴本体が臭くなるのを抑制するのは効果が薄いと思われる。

結局、僕らの足自体は洗えばいいし、肉の内部まで臭いということはない。

結局、靴本体が臭いのであるから、靴本体をいかに臭くしないか?がポイントなのだ。

なお僕もミョウバン水は試したが、結局はニオイの立ち上がりが遅くなるだけで結局は臭くなっていた。靴本体が

※この頃は同じ靴を1日おきとか、連日で履いちゃったりしていた…(2足ローテーション時代)

革靴との戦いの思い出

最後に、僕自身の切ない思い出を語っておこう。

僕は新卒で入社した建築系ブラック企業で、毎日2万歩を歩いて回る営業マンをしていた。そのため、足は汗を大量にかくし、当時は知識もなく、同じ革靴を連日で履いちゃうこともあった。そもそも2足ローテーションだった。

そんなことをしていたから、必然的に足が臭くなっていった。

毎夜毎夜、帰宅すると「うわクッサ!」と自分の靴下のニオイにビビっていた。

しかし「これは頑張った証だから、仕方ないな!」とか謎の励ましを自分にしていた。

僕はこれは野原ひろし氏の功罪だと思う。

「足が臭くても、それは頑張ってる証拠だから」みたいなイメージを浸透させていると思う。

そんな折、職場の先輩方と仕事終わりに居酒屋に行った。

座敷だった。

「オイ誰だよこの足のニオイはよ〜wクッサ!!」

…言わずもがな、僕の足だった。

先輩方は「毎日同じ靴履くなや!w」とからかいつつ笑い飛ばして注意くれたが、僕は顔から火が出るくらい恥ずかしかった(当然だが)。

この時から、靴のニオイの研究をして今に至っている。

ニオイを発生させないことは、実は簡単だ。

ちゃんと乾燥させれば良いだけである。

そのためには、同じ靴をヘビーローテーションさせないこと。

だから初期は、最低でも3足、できたら4〜5足を確保しローテーションすれば足の悪臭問題で悩むことはなくなる。

結局、革靴は何を買えばいいの?」でも紹介したが、僕はスコッチグレインが3万円くらいでちょうどいいと思う。しかし、これをいきなり5足揃えるのは現実的ではないだろう。

だからまずは1〜2足をスコッチグレインにして、プラス2足は合成皮革の5千円の靴でもいいと思う。

初期の頃はそれでも良いから、1年に1足くらいのペースで合皮靴から交代させて、いずれはスコッチグレイン4〜5足体制を構築することをオススメする。

 

以上で「第一印象の基礎」が完了した。

次記事から「知識経験の基礎」に入る。

続き:「使える」営業マン以外に用はない

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