ここからは被購買力の3要素、
- 第一印象
- 有用性
- 善き友であること
この2つ目「有用性」について説明していく。
有用性=使える営業マン
まず単語の説明から。
有用性とは、要するに「使える」ということだ。
「使える」営業マンは自ずと成績を伸ばせる。
他の2つの要素、「第一印象」も、「善き友であること」も大事な要素ではあるのだが、この有用性も一定以上の水準になっていなければ、ラッキーパンチの単発で終わってしまう。
継続的にリピートオーダーを頂いたり、お客様から紹介を頂いたりするには、この有用性はポイントとなる。
それは自分が顧客の立場にたったら、すぐにわかるだろう。
「こいつ使えない営業マンだなぁ」と思ったら、買わないし、仕方なく買ったとしてもリピートや友達への紹介もしないだろう。
では「使える」とは何なのだろうか。
会社の「お勉強」は有効ではない
「使える」営業マンの特性は、いくつかある。
- 実務に精通している
- 援護をしてくれる
- 良い気分にさせてくれる
などの特性だ。
※この3つのうち、下の2つ「援護」と「良い気分」は基礎ではないので、この章では説明しないが、後の「強化編」で紹介する。
まずは「実務に精通している」を目指そう。
よく、「商品知識を暗記しろ」とか「カタログ暗記しろ」とか言われる。
もしくは先輩や上司とロールプレイングして、トークの流れ覚えろとか、こう言われたらこう切り返せとかのQ&Aを練習させられたりする。
しかし、こんなものは実は営業の現場では役に立たない。
まったく斬新で、今までだれも知らないような本当に新しくこの世に生み出されたような商品ならいざ知らず、ほとんどの商品は現行品の改良だったり、代用だったり、ちょっと新しいとか、安くなった、というものばかりだ。
そしてそれを購入・採用するお客様も当然、それらの商品については詳しい。むしろ新人〜1年目の営業マンなんかよりはよっぽど詳しい場合も多いだろう。
だから、勤務先が強制してくる、いわゆる「お勉強」的な商品知識やトーク事例は、実際には全然役に立たないことが多い。
ただし勉強自体が無駄、ということではない。憶えておいた方がいい知識もある。
しかしながら、その「お勉強の知識」を持っていればすなわち売れる、ということではないのだ。
そうではなく、お客様はあくまでも営業マンに「実務能力」を求めている。
顧客・購買担当者の本音
お客様が営業マンに求めている実務能力とは、現場で使える知識・経験のことを指す。
例えば、あなたが商品を買うときに気にすることは、「効果」と「価格」ではないだろうか。
使ってみて効果はどれくらいか?
費用に見合っているのか?
という切り口である。
その「効果」を担保するものとして、ブランドや、大手企業だから、という安心感を加味したりする。
ちなみにこれは一般消費者の場合である。
企業対企業、いわゆるBtoBの商材においては、ブランド力の効果は若干弱まる。
もちろん、大手企業はブランド力を気にした時代もあったが、今はそんなことよりも「実」を追求する姿勢が強まってきて、コストパフォーマンスが問われるようになってきた。
そんな企業の購買担当者が見るところは、その営業マンの実務能力である。
つまり「コイツに仕事を任せたら、うまくやってくれるかな。それも安く」
この視点でしか基本的に見ていない。
根も葉もないが、あなたが購買担当者だったら、同じくそう思うはずだ。
そして「うまくやる」の部分には、色々な意味が詰まっている。
もちろん「失敗しない」から始まり
「面倒なトラブルや事故を起こさない」
「必要な書類を迅速に提出してくれる」
「社内プレゼン用資料をすぐに作ってくれる」
「製品使用時に予想されるトラブルを先回りして対策してくれる」
など、
とにかく便利で、ミスなく、面倒を先回りして潰しておいてくれる、そんなプロフェッショナルで「使える」営業マンを求めている。
それが「実務能力」という言葉に詰まっている。
実務能力=戦場での剣
そのように、お客様というのは現場で想定される様々な面倒事・トラブルを回避したいと思っている。
そのようなトラブルを未然に防いでくれて、
「ここ危ないですよ」
「こうした方がいいですよ」
と教えてくれる、頼れるアドバイザー性も、営業マンに求めている。
そのような営業マンとは、要するに「場数を踏んでいるプロの営業マン」である。
たくさんの場数を踏んで、現場や実務上でのトラブル事例やうまくいった事例をたくさん持っているプロこそが、頼れる。
そういう営業マンだからこそ、お客様は買おうと思う。
つまり結果的に売れる。
- 「以前こういう現場でこうやったらクレーム起きませんでした」
- 「こういう場合はこれを使えば故障しにくくなりますよ」
- 「こういう契約にした方が長期的にお得ですよ」
といった、経験に裏打ちされた、知識経験である。
いわば実戦で磨かれた戦場の剣のような力のことだ。
決して、机上で勉強しただけの知識とか、訓練学校で教えられた剣道ではない。
実戦の場で苦労しながら身に付けた戦場の剣を、お客様は営業マンに求めている。
「建築学科で勉強したけど現場は今回が初です!」
という建築士よりも、
「俺ぁ高卒だがこの道30年で良い家たくさん作ってきたぜ」
という大工さんの方が頼れるのと同じだ。
もちろん、両方兼ね備えているのが最良で、これを目指すべきだと僕は思う。
どうすれば身につくのか?
では、そのような「戦場の剣」は、どうやったら身につくのだろうか。
特に新卒の人は心配になるだろう。
しかし安心していい。
ただただ、真摯に続けてさえいれば良い。
既存のお客様からの案件、新規のお客様からの引き合い。
駆け出し営業マンになったら、必ずや何らかの案件が降ってくる。
上層部がちゃんとわかっている会社であれば、新人には経験を積ませる意味で、先輩の案件を手伝わせたり、簡単そうな新規案件を振ってくれたりするはずだ。
それらの案件に一生懸命取り組めば良い。
一生懸命とは、わからないことを調べること。
仕組みがよくわからなければ、詳しい人に聞くこと。
現場に赴き、作業を見ること。
トラブルになったときは原因究明をして、お客様にしっかり説明して謝罪すること。
そのように、一枚一枚、薄い紙を積み重ねていくように自分に知識経験を積んでいく。
その薄い紙は、2年ほど経てば、いつしか鉄のように硬くなって、あなたを守る鎧になり、お客様の心をとらえる剣にもなる。
それを形成することに関して、続けて解説していく。
続き:必ず積み重ねると決める
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