結局、革靴は何を買えばいいの?

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知識習得

前回前々回と革靴についての基礎知識や見分け方を説明してきた。

しかしながら革靴マニアになれ、ということではない。革靴の世界は、奥が深い。深すぎる。

そのため、まずは営業マンとして失敗がないこと。

そして「コイツちょっとわかってるな」と、わかる人にわかってもらえるような靴選びをして欲しいと思っている。

革靴は、数こそ少ないものの、「わかっている人」たちがいる。

その人たちだけに通じる言語がある。その言語の一端を、少しでも良いので、かじっておいてほしいのだ。

そしてそういう「わかっている」人たちは、社会的地位が高い人に多い。

そのため、彼らに遭遇した時に「革靴」という言語で語り合えたり、適切な言葉で褒めることができたなら、とても強い。

なので「革靴」という言語は、周りのオッチャンたち・平社員たちには通じない言語でもある。

習慣、文化…そういった種類の嗜み、いわば「言語」だ。

紳士靴というものは高貴な嗜みと言える。

しかしながら、お金をかければいいというものでもない。先述の「わかっている人たち」も、そのことはよく知っている。

むしろ値段よりも、靴の形状のチョイスや、手入れに目がいくのだ。

なので、その紳士靴という「言語」の基礎を習得しつつも、お金をかけるのは最小限に、というのが本サイトで目指してほしい到達点となる。

サイズフィッティング

まず革靴のサイズフィッティングから。これはお店で、足のサイズを細かく採寸してもらうことだ。

運動靴と違って、形が変形しにくい革靴は、足に合っていないとツラい思いをすることになる。

特に日本人は「幅広、甲高」という足の形状をしている。

幅広とはつま先の横幅が広くて、甲高とは足の甲が高いということだ。

まず紳士靴の著名メーカーはほとんどが海外ブランドなので、西欧人の足の形にフィットする木型を使っている。

それを幅広甲高の日本人が履こうとすると、横の幅に合わせて、どうしても縦に長くなってしまう。横の幅には、EE、EEE、EEEEなどのサイズがある。そうなると身長の割に靴だけが長くて巨大になってしまい、滑稽になる。

これを避けるためにもしっかり採寸し、推奨のサイズを選ぼう。

後述するが、僕が推奨する靴はその素材と製法から、3万円ほどする。

決して安い買い物ではない。

それをミスしないためにも、スニーカーと同じサイズで靴を買ってはならない。

必ずフィッティングしてもらおう。足の寸法を測れば大失敗を避けることができる。

革の素材について

素材については前回の記事にて説明したが、まず人工皮革・合成皮革はクリーム等による手入れが効かないので使い捨てになってしまい、結果としてコスパが悪くなるので推奨しない。

次に、本革であってもガラス加工の皮革。多少のメンテナンスは効くものの、数年使用しているとヒビ割れてしまい修復不能になるため、こちらも推奨できない。

そのためガラス加工でない革を選ぼう。僕の経験だと、2万円以下だと大体ガラス加工の靴だと思う。

というのも、ガラス加工の革とは、そもそも成長しきった牛の、硬い革を使っているので安価なのだ。そういう背景もあり、2万円以下の天然皮革モノがガラス加工だらけになるのは致し方のないことと言える。

メーカーにもよるが、若い牛の革を使用している、メンテがしっかり効く靴は、3万円以上からになる。もちろん3万円台でもガラス加工革の靴はあるから注意が必要だ。しかしながら、3万以下ではガラス加工靴を掴む可能性が非常に高いことは覚えておこう。

製法

次に製法について。

革靴には大きく3つの製法がある。

  • セメント製法
  • マッケイ製法
  • グッドイヤーウェルテッド製法

これは革靴のソールの製法だ。

セメント製法は、接着剤でベタっとくっつける方法で、人工皮革の靴が大体これだ。今回は関係ないが、運動靴やスニーカーの大半もこれだ。

すり減ったソールの交換はできず、基本的に使い捨てとなる。

次にマッケイ製法は、先述の2万円以下の安い本革の靴によく採用されている製法で、ソールと靴の内側を直接縫い付ける製法だ。この特性により、ソールと靴本体が一体化しスリムにつなげることができるので、スタイリッシュな靴に好まれる製法だ。ソールの交換は、1〜2回ならできるらしいが、あまり推奨されない。

最後にグッドイヤーウェルテッド製法は、ソールと靴本体がそれぞれ独立していて、別々のパーツとして合体させる。そのため、ソールを何度も交換しても大丈夫なようにできている。

ただし、その機構ゆえにソールが大きく張り出す形になり、スタイリッシュというよりも重厚感のある靴になる。イギリス靴はこの製法が多く、先述のマッケイ製法はイタリア靴に多く見られる製法と言われている。

2万円くらいのマッケイ製法の靴を数年周期で履き潰しつつ買い換えていくのか、3万円のグッドイヤーウェルテッド製法の靴をソールを換えながら履いていくのかは、長い目で見ると後者がお得なのはわかってもらえたかと思う。

また営業マンに求められることはスタイリッシュさではなく安心感や違和感がない、クラシックな出で立ちであることからも、やはりここはグッドイヤーウェルテッド製法の靴で決まりだ。

結論 スコッチグレイン

ここまでの記事で、革靴はデザインから始まり、メンテナンスの観点から素材が重要で、かつフィッティングが必要だと述べてきた。そして値段も、なるべく安く、という条件もあった。

これらを総合的に考え、僕はスコッチグレイン(ヒロカワ製靴)を推奨する。

このページの中の「STANDARD」が32,000円+税となる(PREMIAMなど高級グレードもあるが、ひとまずは不要)。

スコッチグレインは日本のメーカーなので日本人向けの木型で靴を作っている。

幅広甲高にも対応してくれているメーカーだ。

さらに素材となる革もこだわっているとのことで、柔らかくて上質だ。

手入れもちゃんと効くし、ガラス加工ではないので樹脂割れもない。

また先述のグッドイヤーウェルテッド製法という、ソールを何度も交換できる製法で作られている点もポイントだ。ソール全面交換しても11,000~14,500円(+税&送料)程度で済む(修理ページ)。

これまで口うるさく提示してきた条件を満たしつつ3万円程度というコストパフォーマンスを考慮すると、

「営業マンに適切なのはスコッチグレイン」と結論付けたい。

革靴は、上を見たらキリがない世界だ。

数十万円の靴もザラにある。それこそオーダーメイドが最上だ。

しかしそういう靴は非常に高価だ。

かといって5千円の合皮の靴や、革だけどガラス加工の2万円のものは、損耗が早かったりして結局はコスパが悪い。

また、見る人が見たら「アレ合皮だわw」とわかってしまう。

その点においてスコッチグレインは3万円で、革靴に求められる要件(手入れ、見た目、日本人フィット)を見事に満たしている。営業マンにとっては攻守ともに最良の靴と言えるだろう。

ここまでで、革靴の選び方の大枠を説明した。

長くなったので、メンテナンスについては続きを書く。

以上、革靴の選び方を説明した。安くない買い物なので、無駄な靴を買わないようにしたい。

3万円は高く見えるかもしれないが、何足も履き潰して買い換える方が長い目で見たら損なので、長く使える靴を選んでいくことを自分の経験からお勧めする。

続き:小物(ネクタイ等)の選び方

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