事前準備と仮説立て

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接近戦

第一印象の強化編、その4は「準備と仮説立て」だ。

「ぶっつけ本番」はヤメロ

まずはダメな営業マンの動きから。

「ぶっつけ本番」だ。

新規のお客様から引き合いがあった、もしくは紹介を受けて訪問することになった。

それに際して「ま〜当日、お客様の話を聞いて臨機応変に対応すればいいか〜初回だし」

という気持ちに…なりたくなるのはよくわかる。

よくわかるが、それでは並の営業マンだ。

第一印象よく、ロケットスタートを切って、素早く新規開拓を進めていくためには、事前準備と仮説立てをしていこう。

大変なのは、わかる。

そして実際やらなくても、ぶっつけ本番・臨機応変でなんとかなっちゃうのも、わかる。

しかしだからこそ、あえて事前準備をして全力で当たろう。

初回アポイントとは、それほどに価値があるのだから。

準備=相手HPを印刷する

では具体的に準備とは何をするのかというと、お客様のホームページを見て、印刷して持参すればよい。

印刷するページは、

  • 会社概要ページ沿革・拠点
  • 製品ページのトップ(商品一覧)

これらがあればひとまずは十分だ。社長からのメッセージページなどは、社長がよほどの名物だったり、社長その人と会う場合でなければ不要だ。

なぜこれらの印刷が必要なのかを説明する。

会社概要・沿革・拠点

会社概要には設立年と資本金、従業員数が記載されている。

ここから読み取れるのは、いつ頃からやっている会社で、どれくらいの規模なのかということである。

例えば設立からちょうど50周年だったり、もしくはその50周年を来年に控えている、などの情報を手に入れることができる。

お客様は自分の会社に誇りを持っていることが多いので、特にその歴史の長さを話題にすることは効果的だ。

ビジネスを長く継続することは難しいことであり、特に長くやってきている会社はバブル崩壊も、平成不況も、リーマンショックも、東日本大震災も乗り越えてきているという証だからだ。

次に沿革だが、これはその会社がどのような生い立ちで現在に至るのか、という企業の履歴書だ。

最初は地方で初代社長が小さな商店を営んでいて…というスタートから、今日の姿になるまで、等の来歴をみることができる。

「なぜ昔のことが必要なのか?必要なのは今ではないのか?」と感じた人もいるかと思う。

しかし僕が実際に営業の現場で、新規のお客様と接して感じたのは、多くのお客様もまた、自社のことを語りたいということだ。

当然、僕らは営業マンだから、自社の信用性をアピールするという意味で、自社の歴史や規模を紹介する。

しかしお客様から見ても、僕らは新規取引先であるから、その僕らに対して「我々は信頼できるパートナーになり得ますよ」というメッセージを何らかの形で返してくるパターンが多い。

もちろん、誰もが知っているような大企業であればその工程は省略されることが多いが、中小企業だとそのように、お互いの過去を語り合い、知り合うというプロセスが挟まれることが多い。

というか…やはり、お客様も自社のことを話したいものなのである。

特に、第一印象が良い営業マンだった場合には、その傾向は強くなる。

お客様は気に入った相手には、自分の情報をどんどん開示したくなるからだ。

とはいえ、最初はオフィシャルな公開情報・差し障りのない情報開示から始まる。

いきなり機密情報は聞き出せないのだが、まずはこの公開情報をお客様の口から話させることによって、第一の儀式が完了するのだ。

もちろん「あ、それ知ってます。それ沿革に書いてありましたね」と先を制してはいけない。

「ホームページ拝見したんですけど…確か創業は大阪で漢方薬を売っていらっしゃったんでしたっけ?」

という質問の形で切り出し、水を向ける。

あくまでも話させるという儀式が大切だ。

するとお客様は

「あっホームページみてくれたんですね。そうなんですよ。最初は中国から輸入した漢方薬を売る小さな商店で、そこからこういうことがあって…」

と始まっていく。

この時、小道具として印刷した沿革の紙があると良い。

お客様はその沿革の紙を指差しながら、「この時はこうでね」と語ってくれるはずだ。

拠点一覧

お客様が大企業の場合は特に、複数の拠点を持っている場合がある。

もちろん事前に、所在地を確認してから挑むのであるが、やはり人間の記憶力には限界があるし、何箇所もある場合には把握しきれない。

特に初回の場合は暗記するのもなかなか難しい。

そのため、こちらも紙に印刷して、持参する。

そうすればお客様が直接、その紙を指差して詳細を教えてくれたりする。

「この埼玉の工場ではこういう製品をメインに作っていてね…」

という情報は、意外に公開されていなかったりするから、貴重な情報となる。

先述の沿革も併せて、工場の竣工の順番や、工場を作った経緯なども教えてもらえたりする。

海外に工場や、支店があったりする場合などもあるから、やはり紙に印刷して持参することは有効だ。

製品ページのトップ

営業マンが新規のお客様にお会いするということは、そのゴールは必ず「採用してもらう」である。

そのためには、お客様の商品やサービスの一部に組み込まれることが必要になるのだが、何に使われるのかを事前に教えてくれないパターンもある。

もしくは、非常に漠然としていて掴めないこともある。

例えば「コーティング用」と指定があったとしても、そのコーティング剤は紙に塗るのか、フィルムに塗るのか、金属に塗るのかで全然違うものが必要になる。

後述する、仮説立ての段階で必要になるのだが、それを自然に行うために、このお客様の商品概要のトップページを印刷しよう。

もちろん理想としては全ページの印刷だが、それは紙がもったいないし、持ち運ぶのも嵩張って重い。

そのため、製品一覧のトップページのみ印刷して、それを指差しながら会話するのだ。

「もしかして、この製品に使われたりしますか?」と印刷した紙を指差しながら聞けるとよい。

「印刷」その一手間が、I love you

実はここまで述べてきた、会社概要や沿革、商品概要などはぶっちゃけ、お客様が自社のパンフレットを用意してきてくれたら解決できるものではある。

しかし実際にはお客様が営業マンに向けてパンフレットを持参してきてくれることは少ないし、そこまで気が利くお客様というのも少ない。

僕は印刷をしていなかった時期があるのだが、その頃、上記のようなトークをするとお客様は決まって

「ちょっと待ってて、パンフレット持ってくるね」

といって嬉々としてパンフレットを持ってきて、それを使って説明し始めた。

もちろんこのスタイルも十分なのだが、僕の肌感覚では、営業マンが事前にHPをチェックして、かつ事前に印刷して持ってきてくれたという手間暇それ自体が、お客様の心をとらえるようだ。

『人を動かす』にもあるが、人間というものは、自分自身や自分に付随するもの(自分「の」がつくもの)に興味関心を示されるとうれしくなる。

仮説を立てる

ここまでは、お客様に良い印象を与えるために有効な戦法である「お客様HPを印刷して持参」というとても即効性のある技を紹介した。

これは誰でもできるが、即効性のある数少ない技でもあるので、ぜひ実行してもらいたいのだが、そこから一歩踏み込むのが「仮説を立てる」である。

仮説を立てるとは、つまり

「こういうことで困っているんじゃありませんか?」

と先回りして、

「こういう方法で、クリアできますよ」

という解決策までセットで示すことだ。

お客様のHPを見て、これに使われそうだな、と予測して、業界のトレンドから推測して

「こういうことで困ってるでしょ?」

と、ズバリ当てに行くのだ。

これがハマると「何でわかったの!?そうだよ!まさにそれを解決したくてお呼びしたんだよ!」

となり急速に信頼関係が作れる。

仮に、その予測が外れてしまったとしても、

「今回はそうじゃないんだけど、この営業マン、詳しいな。頼りになりそう」

という印象を与えることができる。

この予測の精度をあげることは、実は一朝一夕にはできない。

数多くの案件に取り組んで、成功も失敗もして、ある程度知見が溜まってきてはじめて、できる。

だからこの「お客様の課題を先読みして、当てる」というのは高等技術となる。

しかし焦る必要はない。

これは取り組む案件数が増えれば増えるほど、ケーススタディが増えて、自然と精度が向上するからだ。

この初見でのズバリ課題当て&対処法について少し語れる、ができると第一印象はとても良くなる。

「プロ感」が出る。これが大切だ。

続き:心のセキュリティレベル(1〜3)

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