前回の口臭のケア工法に続き、今回もニオイのケア方法について説明していく。
あれ?俺ってワキガ…?
まずワイシャツに着くニオイについて。
これは実際に僕が悩んだニオイなのだが、
「洗濯直後は臭くないのに、汗をかくと急に臭くなる」
というニオイだ。
主に脇の下の部分から発生するため「えっ俺ってワキガなのかな!?」とビビっていた。
しかし僕はこれまで、ワキガではなかったはずだ。
ここ数年、急にワキガ(?)らしきニオイに悩まされてきた。
日本人は遺伝的にワキガの原因となるアポクリン腺が退化しているらしく、人口の10〜15%しかワキガはいない、という説もある。
本当にワキガの人であれば、根本的な治療が必要となるが、本記事では「今までワキガではなかったのに急にシャツの脇の下が臭くなった人」を対象とする。
僕の場合、私服では全く臭くないのに、仕事着を着ると、臭くなるという現象だった。
当時は本当に意味不明な事態であった。
また先述のように、洗濯をするとシャツは臭くなくなることも確認された。
つまり「汗をかく→クサい」という因果関係が確定的となり、いよいよ自分の脇からニオイ物質が分泌されているのか…?と思うようになっていた。
もしかして加齢と共に体質って変わるのか?と真剣に悩んだりしていた(ちなみに脇毛は剃る派)。
しかしその悩みは、杞憂だった。
「モラクセラ菌」
様々な調査の末、判明したのは、シャツのワキ部分にモラクセラ菌がこびりついていたということだった。
モラクセラ菌は常在菌で、常に身の回りにいる。
梅雨時期に洗濯物が生乾きでクサイ経験があるかと思う。
雑巾みたいなニオイだ。
これはモラクセラ菌の仕業である。
モラクセラ菌は、水分と皮脂をエサにして、クサイ物質を分泌する性質がある。
そして、通常の洗濯ではなかなかモラクセラ菌は落としきれず、また紫外線や乾燥にも強い特性があるという。
つまり、一度繁殖してしまうと、通常の洗濯だけでは除去が難しい。
この菌が厄介なのは、通常の洗濯でモラクセラ菌が出すニオイ物質は洗い流せるところだ。しかしモラクセラ菌の本体はシャツの繊維にくいこんでいるので、簡単に除去できない。
そのため、また水分や皮脂、つまり汗を供給してしまうと、途端にニオイ物質を分泌してしまうのだ。
僕のシャツの脇の部分だけが異様に臭いことはこれで説明がついた。
モラクセラ菌の除去
以上より、モラクセラ菌を除去すればニオイ物質は分泌されないことがわかった。
モラクセラ菌を死滅させるには単純に乾かすだけではダメで、下記の方法で殺菌できる。
- 煮沸
- 塩素系漂白剤
- 酸素系漂白剤
まず煮沸は、最も直接的で確実な方法で、特殊な材料がいらないというメリットがある。しかしながら、シャツは結構大きいのでやりにくいし、ナイロンなどの化学繊維は高温では縮んでしまうため、推奨できない。ちなみにタオルなどは煮沸が適している。
次に漂白剤を用いる方法だ。
塩素系は強力な殺菌力を持つので良いのだが、色物のシャツには使用できない。色を漂白して真っ白にしてしまうからだ。ホワイトのシャツには使用できる。
一方で酸素系漂白剤は殺菌力はやや劣るものの色物シャツにも使用できる。僕は酸素系漂白剤を使用してモラクセラ菌を除去することができた。
僕はこのワイドハイターをつけ置きしたが、酸素系ならなんでも良いと思う。
ワイシャツ本体もそうだが、インナーのシャツもモラクセラ菌に棲みつかれているはずなので、定期的にチェックしよう。
モラクセラ菌対策
モラクセラ菌は、水分が5時間あると増殖して、かつそこに皮脂などのエサがあると、それを材料にしてニオイを発するらしい。
つまりは生乾き状態で長時間放置しないことが大切だ。
しかしもちろん、シャツは5時間以上着ているわけだから、完全乾燥というのも難しい。
そのため、有効な対策や注意点を説明する。
基本的にはモラクセラ菌に有利な環境を作り出さないことがポイントとなる。
具体的には増殖原因の排除と、エサの供給を断つことだ。
まず増殖を防ぐには、濡れた状態で5時間以上放置しないことが大切だと述べた。ちなみに汗をかいたシャツを洗濯機のドラムに入れておくのは最悪で、そこはモラクセラ菌の培養庫となってしまう。
多少面倒でも、毎日洗うか、せめて水気を乾燥させておくことだ。
また平日はなかなか洗濯できない人も多いかと思う。やるとしても夜にしか実行できず、夜干しとなって結局は乾燥し切れず臭くなることもあるかと思う。梅雨時期は特に。
これに対しては僕は「除湿機」をお勧めしたい。
僕も長らく部屋干しがうまく乾燥できないことを悩んでいたし、梅雨時は部屋が湿っぽくなって不快だった。エアコンの除湿も効くには効くが、パワー不足は否めない。
そこでこういった除湿機を使用したところ、それらの悩みは解決した。乾燥した風を連続して当て続けてくれるので、短時間で衣服が乾燥する。一晩で2リットル近く除湿した水が集まることもある。
少々高価に見えるが、実は除湿機は結構なお値段がするものが多く、これでも安い方となる。
除湿にはコンプレッサー式とデシカント式があるが、今回は除湿が強力でスピーディなコンプレッサー式を紹介した。 この2つの方式の優劣は詳しいサイトが溢れているので、ちょっと検索してみると良い。
デシカント式は、静音という特性があるが、高価なのと、スピードが劣るので洗濯物を素早く乾かすのにはやはりコンプレッサー式がお勧めだ。
洗濯テクニック
洗濯にもテクニックが存在する。
まず、風呂の残り湯はモラクセラ菌を増やしたくなければ絶対にやめたほうがいい。
風呂の残り湯には皮脂がたくさん溶け込んでいる。当然、モラクセラ菌のエサになってしまう。
多少の水道代が浮いても、シャツが臭くなるくらいならフレッシュな水を使おう。
次に、洗剤量を多めにすること。
これは特に梅雨時には是非実践したい。
例えば洗濯機が「今回は45リットルです」と表示を出してくる。これに対し、45リットル分の洗剤を投入するのが普通ではある。しかしこれを多め(1.5~2倍)に入れることによって、衣類についた皮脂などを徹底的に落とすことができる。
洗剤というのは、難しい言い方をすると「界面活性剤」という。
界面活性剤とは、水と油の間を取り持つような物質である。
擬人化して説明すると、界面活性剤くん一人当たりが手を繋ぐことができる油の量は決まっている。界面活性剤くんが手を繋げた油(皮脂とかの汚れ)は、衣類から剥がされて、水と一緒に流されていく。
そのため、単純に界面活性剤くんは人数が多ければ多いほど、比例して多くの皮脂汚れを連れ去っていくことができるのだ。
皮脂汚れとは、モラクセラ菌のエサだから、このような対策をとることでシャツに残存する皮脂の量をかなり減らすことができる。
とにかく「モラクセラ菌×水×皮脂×時間」という条件を整えないことが大切だ。どれかひとつを減らせば、確実にニオイは防げる。
2つ以上複合して原因を除去できれば、もうニオイにビビらなくて良くなる。
モラクセラ菌との出会い
最後に、こぼれ話を。
僕は結構長い間、自分の脇がクサイことを悩んでいた。
しかし春先に、洗濯物がクサイ事件が発生した。
この時、妻が節約のためとか言って風呂の残り湯を使用して、かつ除湿機をかけ忘れて夜干しした。
結果、無事に洗濯物が全て臭くなった。
せっかく洗ったのにぞうきんのニオイである。
しかしこの時はモラクセラ菌の知識もなかったので、「洗剤を入れて洗濯したのに、なんでこんなに臭くなるんだ!?」と調べ始めたのが、モラクセラ菌へたどり着いた経緯だ。
そしてモラクセラ菌の特性を学ぶうちに
「もしや…僕の脇がクサイのはこいつのせいなのでは…?」と思い始めて、除菌を行ったところ無事に解決した次第だ。
タオルなどの悪臭がなかなか取れないとか、シャツが替え時かなと思っている人は是非、紹介した除菌方法を使ってみてほしい。
続き:革靴の悪臭回避方法
コメント