善き友になろう

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知識習得

被購買力を構成する3要素は、

  1. 第一印象
  2. 実用的
  3. 善き友であること

である。本記事から3の「善き友であること」について説明していく。

「善き」とは?

まずは「善き友」という単語について説明しよう。

あえて「良き」ではなく「善き」を使う。

それは営業マンに求められる本質が文字通り「善」だからである。

「善悪」の、善ということだ。

営業マンは、残念ながら邪悪な者も多い。

お客様に誤解や勘違いをさせたり、もしくは必要なことを言わなかったりして、自社の利益に誘導したり、自分の成績を第一に追求する営業マンも、残念ながら存在する。

これはお客様の利益を損なうことなので、お客様から見たら明確に「悪」と言える。

そしてそういう悪行を前提とした仕組みになっている業界もある。

そういう世の中であるがゆえに、お客様というのは「営業マン」という存在自体を怪しい者だと警戒するようになってしまった。

ゆえに、この世の中において営業マンに求められるのはお客様に利益をもたらすこと。

本当にお客様のことを考えて、親身に対応する営業マン。

それこそが「善」だと思う。

ひとまず自社や自分の利益は置いておいて、お客様に損をさせないような提案をしたり、場合によっては自社製品以外を薦めたりする。

お客様がトラブルに遭いそうだったら「危ないですよ」と声をかけて、問題があれば解決すべく一緒に考える。

そんな「善い人」こそが、最終的には真に信頼されていく。

これに対して「良い人」は、人当たりが良いとか、見た目が良いとか、説明が良いとか、ある一定の基準に対して「良い」という意味になる。

いくら表層が「良い」人であっても、その性根が「善い」でなかったら、お客様にとっては真に有用とは言えない。

漢字の意味を調べると

「良い」は基準や他のものと比べて優れていることを指す漢字で、

「善い」は道徳や道理に適うことを指す漢字だ。

最終的に、営業マンに求められるのは「良い」ではなく「善い」である。

そういう意味で、被購買力の3つ目は「善き友であること」と定義した。

「友」とは、裏切らない人のこと

次に「友」について。

お客様をお友達と呼ぶなんて、けしからん!お客様は神様だぞ!という人もいるかもしれない。

しかしよく考えてみると、そのように「客」と一線を引いた人間関係は、どこか事務的で、味気なく感じないだろうか。

これがコンビニや牛丼屋ならそれでもいい。

「売ってくれ→わかりました」だけの関係ならば、それで良いし、むしろその方が好ましい。

しかし僕が推奨するような化学メーカーの営業マンは、もっとお客様と深く人間関係を構築することが多い。

なぜなら共同開発をするには多少の秘密を公開しなくてはならず、その情報は、信用できる人間にしか話せないからだ。

「社内の機密情報を、コイツに話しても大丈夫かな?」と、お客様は考える。

もちろん既に実績ある、既存顧客であれば会社対会社の信頼があるのであまり問われない。

しかし、新規営業の場合は実績がないため、純粋に営業マン個人として信頼が置けるか否か?をお客様はジャッジする。

なおその情報がなければ、開発の方向性が定まらなかったり、なかなか良いものが作れなかったりするので、この「秘密を聞き出す能力」は新規開拓において非常に大切と言える。

この信頼関係を素早く構築できるのが「友になること」だ。

あまり知らない知人には話せないことも、信頼している友達になら話せる。

それはもちろん実績や付き合いの長さもあるだろうが、それよりも結局は

「この人は自分を裏切らないか?」という感情である。

営業マンに対するジャッジ

特に後半の「裏切らないか?」は重要で、秘密を口外されたり、約束を破られたのでは困るから、お客様は全神経を集中して営業マンをジャッジする。

それこそ見た目から始まり、表情、ボディランゲージ、話し方、仕草、考え方に至るまで、五感をフル稼働しながらジャッジしている。

そこで「ん?コイツは見た目がちょっと軽そうだな?全体的に軽いから、なんか口も軽そうだな」と感じさせてしまったら、そこで終わりだ。秘密は教えてもらえない。

そのため本サイトでは「第一印象」についてかなりのページを割いた。

また、知識経験がないバカ営業マンと思われても、秘密は教えてくれない。

「コイツは知識経験があって、使えそうだな」と思われたら、秘密を聞かせるかどうかの土俵に立てる。

ただ、第一印象をクリアして、知識経験も問題ないとなっても、それだけでは秘密は聞けない。

秘密を話すのは、裏切らないと確信した友達のみだからだ。

どうやったら友になれるか?

友になる、つまり裏切らない、とはどうやったら判断できるのだろうか。

それは利害が一致していることと、人柄で判断される。

もちろんビジネスであるから、利害の一致はしやすい。

次に「人柄」だが、これは要するに「正直かどうか」である。

人は嘘をつく者・隠しごとをする者は信用できない。

当たり前のことだ。

正直で、隠しごとをしなさそう、伴って裏切らなさそう、とは会話の中での試金石によってジャッジされている。

「こう聴いた時に、本音を言ってくれるかな」と期待しつつ、試しながら投げるボールがある。

それに対して「実はですね…」と話してくれるかどうか。

実は意識せずとも、それを無意識にやっている人が多い。

もちろん、一度で人柄が完全にわかることはない。

そのため少しずつ、小さな案件を任せてみたり、宿題を与えてみたりして、その動き方を観察するお客様もいる。

そのテストには、実は自社に利益がないこともある。

そういうテストにも誠意を持って取り組んで、答えられるかどうかは、その人の人柄による。

その人柄とは、端的に言い表せば

善いヤツかどうか。

友達にしてもいいと思えるかどうか。

単なる一期一会のビジネスの相手ということではなく、継続的に、長期的に関係を続けていける営業マンであるという気質である。

我田引水になりすぎてないか?

ここまで偉そうに、善き友になることのメリットとそのなり方について説明してきた。

しかし、僕も若い頃はこれができていなかった。

「営業マンなんだから、まずは数字だ!売り上げだ!」と息巻いて、毎日毎日、ガシガシ売り込み営業をしていた。

自社製品のメリットや、他社との比較表などで一生懸命に売り込んだ。

しかし、成果は全然上がらなかった。

思えば、あの頃の僕は、自分のことばかり考えていたからだと思う。

自分の成績、自社の売り上げ、それが中心軸で、お客様はそれを達成するための材料、みたいに思っていた。

とにかく我田引水のスピリットだったから、やはり売れなかった。

そんな僕も年数を重ねると余裕が出てきて、スタイルが変わってきた。

1社目は建築系だったのだが、

「その工事するなら、足場が要るし、効率落ちるから日数要りますね。

あと臭気の問題があるから夜間施工の方がクレームは起きないですよ」

そんな風に、お客様の立場を考慮した物言いができるようになっていた。

それまでは、僕はお客様のことを、なかなかサイフを開かない障害物くらいに思っていたのだが、この頃には一緒に問題解決に挑んでいく友達・仲間という考え方になっていた。

もちろん、その頃から成績は上がり始めた。

現場作業を経て知識経験が増えたこともあるが、何よりもお客様目線で、メリットデメリットを事前にアドバイスできていたのが、信頼を得た要因だと思う。

最初の方はなかなか難しいのだが、自分や自社の利益ばかり追うのではなく、お客様の利益や便利、トラブル回避をまずは追ってみる。

使い古された言葉だが「顧客目線」でいよう。

つまりお客様にとって善き友達になることである。

続き:もらうな、つくれ

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