2年で景色は変わる

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知識習得

前回の記事で、知識経験の習得の大切さと、それらを技術マンに教わることについて説明した。

実務を通じて実践的な知識経験を身に付け、その中で出てきた疑問を技術マンに質問し学んでいく。

しかしながら、それをいつまでやれば良いのか?と不安になる人もいるかと思う。

僕の経験談から、その期間は2年だと思う。

前提条件:積み上げが効くこと

まず最初に確認にしておくことがある。

本ブログの手法が通用するのは、積み上げが効く業界においてである。

積み上げが効くとは、一度習得した知識経験が、長きにわたって使えるということを指す。

つまり10年後、20年後も有効である可能性が高い知識経験である。

逆に、積み上げが効かないとは、技術進歩がめざましく、数年後には全く新しい知識経験を身に付けなくてはならない状態を指す。

例えば、ITの分野などは数年単位で新たな技術が主流になり、以前の技術が過去のものになってしまう。機械の分野なども、割とアップデートが激しい。

勘違いして欲しくないのは、このような商品や業界自体が悪いといっているのではない。

このような業界にいては、営業マンがラクをできないということだ。

一度身につけた知識経験を、長く使えるから、どんどんラクになっていく。

長く取り組んだ分だけ、雪だるまのように、知識経験を純粋に積み増せるのが良い。

せっかく作り始めた雪だるまを放棄して、すぐに次の雪だるまにとりかかっていくようなスタイルは、いつまでも営業マン自体に勉強を強いる。これが大変なので、僕は推奨しない。

積み上げが効く業界の特徴はこちらの記事で書いた。

最初の半年:ものしりクイズ

さて化学メーカーに入社して最初の半年は勉強勉強アンド勉強となる。

ここは仕方ない。それまで縁のなかった化学物質の世界に触れて、わけわからない用語がたくさん出てくる。単語のひとつひとつがわからない…そんな状況になる。

そのため、とてもテンパるし、自分センスないんじゃないか、と落ち込むかもしれない。

しかし安心していい。僕もそうだったが、半年もあれば慣れる。

先ほど「センスない」という単語を使ったが、センスなど実は不要だ。

結局は「知っているか、知らないか」だけである。

ものしりクイズと同じだ。

Q.オーストラリアの首都はどこですか?

A.キャンベラ

この「シドニーではなくキャンベラ」を知っているか、いないか。ただそれだけのことばかりだ。

だから、この最初の半年は、わからないことだらけでも自分を責める必要はない。

無駄に焦る必要もない。

イチから化学を勉強しようとか、思わなくてもよい。

そうではなく、ただひたすらにものしりクイズの答えを覚えていけばよい。

「AとBが反応すると、Cになる」

「DとEは混ぜると良くない」

「FとGは同時に使うと効果が高まる」

そんな風に、ひとつひとつ覚えていけばよい。

半年〜12ヶ月:半人前

入社して半年が過ぎ、12ヶ月になるころには、先述の「ものしりクイズ」の頻出パターンは大体マスターできるようになる。

こうなれば、簡単な問題であれば自力で回答ができる。

もしわからなくても、誰に聞けばよいか、どうやって調べればよいかがわかっている頃だ。

自力での回答が難しくても、お助けを駆使することで、大抵の問いに回答できるようになっている。

とはいえ、少し応用的な内容になるとまだまだわからないこともまた多いのがこの時期だ。

ここでわからないことを曖昧にせずに、スルーせずに、しっかり技術マンに教えてもらって理解をしよう。その中でさらに知識経験を増やしていくことができる。

2年目:並の営業マンになる

1年目の終わりからの1年間も、また同じく実務に当たっていくことになる。

お客様から問い合わせや要望を頂いて、それに対応する。

即答できるものは即答し、わからないものは技術マンに聞いて教えてもらう。

結局はその繰り返しになるのだが、この1年間つまり入社から2年目が終わる頃には、頻出するものしりクイズに対する備えも十分になる。

また技術マンから授けられた知識も、かなりの数になっているはずだ。

この2年間の日々の業務を通じての蓄積により、土台は完成する。

つまり2年目を終える頃までには一人前になっているという寸法だ。

一人前、とは要するに並の営業マンになれているということだ。

お客様から聞かれたことに、ある程度答えることができる。もしわからなくても、社内で聞けば解決できる状態。まさに並の営業マン、つまり一人前だ。

この2年が終了したあたりで、これまでと見える景色が変わってくる。

2年半:点と点がつながり始める

並の営業マンとなると、これまでこなしてきた案件も結構な数になる。

その状態になっていると、新たな案件が、以前と異なって見えるようになってくる。見える景色が、新人の頃とは変わるのだ。

一見、無理そうな案件でも、

「待てよ?あの時はダメだったけど、アレとアレを組み合わせれば、もしかしてできるんじゃないか?」

と、これまでの知識を融合させるケースが出てくるのだ。

このように点と点を繋げ合わせるような脳の働きは、様々な事例のメカニズムを知っていないと発生しない

僕がここまで、勉強しろ勉強しろと、メカニズムを技術マンに聞けと繰り返してきたのはこのためである。

メカニズムを理解していないと、このような閃きが起こらない。

化学反応や物理法則のメカニズム・原理原則をある程度、把握しているからこそ、このような応用的な思考が可能になる。

特に新規開拓は、このような営業マンの応用的な思考回路がないと、成就しにくい。

この応用的な思考回路ができていないと、

「あぁ、これは要求水準が高過ぎ。無理だな」

とすぐに諦めてしまい、そこで案件が終了するからだ。

そうではなく、

「一見、厳しいが、あの時のアレとアレを組み合わせてお客様にこういう工夫をしてもらったら可能かもしれない」

という粘りの思考ができるようになってくる。

その思考回路の源は、間違いなく営業マンに蓄積された知識経験によるものだ。

ここに、新規開拓ができる営業マンと、できない営業マンの違いが現れる。

もちろん気持ちも大事だが、それを裏支える知識経験が大切なのだ。

この思考回路がある程度のレベルになるのが、僕の経験だと入社から2年半くらいだった。

もちろんそこからも強化は続き、3年目、4年目とますます多くの案件に触れるたびに回路はパワーアップしていく。

なお、2年半以降の知識習得は、わりかしラクである。

もう土台が出来上がっているので、習得が早いし、新たに覚える量も少ない。

このように、一度身につけた知識が長く有効で、積み増し積み増しでパワーアップできるのが化学業界の良いところだ。

使えなくなる知識がほとんどなく、知識経験が使いまわせて、非常に効率が良い。

 

ここまでで知識経験の基礎力は完成した。

次からは被購買力の3つ目の要素「善き友であること」について解説していく。

続き:善き友になろう

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