飛び込みの作法(考え方編)

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接近戦

営業職のエクストラテクニックとして飛び込み営業の作法を説明する。

前提条件:やらないことに越したことはない

ただし、まず前提として、飛び込み営業など本来やるべきことではない。

私が推奨する化学メーカーの営業マンであれば、代理店(商社)やお客様からの紹介で接触するのが通例だからである。

そうでないルートからの接触など、まず不審で、怪しい。

そもそも飛び込み営業なんてさせている会社なのか、というマイナスのイメージから始まってしまう。

これは第一印象として良くないし、ネガティブな推測(そんなに売上ピンチなのか?等)をアレコレされてしまう。

しかしながら、本書を読む人が必ずしも化学メーカー営業マンではないということも考慮し、私が建築業界で飛び込み営業を繰り返していた頃と、化学メーカー営業においても初期の方で無茶していた頃の経験を基に説明していく。

なお化学メーカー営業マンにおいて飛び込み営業をしてみた結果、意味がほとんどなかった。そのことについても後述する。

飛び込み営業の必要性

まずなぜ飛び込み営業が必要なのか考える。

それは新規顧客との接触手段が無いからである。

知人のツテもなく、ホームページからの問い合わせもないから、見込み客を「探す」ために仕方なく飛び込み営業をする。

どこに行けば良いか明確にわからないから、手当たり次第に訪問して話をしなければ、その人が見込み客になるかどうかすらわからない。

突撃訪問して、話をして、見込み客になりそうかどうかを判定する。

見込み客になりそうなら継続して通うし、見込み客になりそうもないなと思ったら打ち切りだ。

この見込み客を「探す」というプロセスを「営業する」と解釈している会社もある。

しかし私に言わせればこの「探す」という行為はマーケティング(市場調査)であり、営業(セールス)ではない。

見込み客を集めて選別して、可能性がある見込み客に対して営業マンが赴いて、クロージングをする。

これが営業である。

そのためこのマーケティングとセールスは欧米では明確に分離しているのだが、日本においては両方とも営業マンにやらせる場合がままある。

しかしながらそのことに文句を言っても始まらないので、まずここで理解すべきは「飛び込み営業」というのは本質的には営業ではなくマーケティング(市場調査)であるということだ。

日々、飛び込み営業をして見込み客を探索し続ける行為は、なんだか営業をしている気持ちになるが、実は「営業」はしていない。

市場調査をしているだけである。

実は半ば負けている会社

そのような市場調査活動を営業マンにやらせているという時点で、その会社は実力がない、と考えた方が良いだろう。

マーケティングができない、問い合わせが来ない会社だから、そんなことまで営業マンにやらせなくてはならないのだ。

そしてその負担を営業マンに押し付けている時点で、その会社は半ばビジネスに失敗していると言っても過言ではない。

お客様の方から引き合いがこないとか、既存顧客からの紹介がないということは、提供している商品やサービスの価値が低いということであり、本質的には市場から欲されていない、需要がないということだからだ。

需要がないところを無理矢理拡販しようと欲張るから、その無茶を通そうとするところに負担が発生する。

その負担を営業マン個人に押し付けているのが、このタイプの会社なのである。

つまり半ば負けかけていて、退場寸前の会社だということ。

なぜここまで私が厳しく語るのかといえば、私が新卒で入社した建築工事系の会社がこのような会社だったからだ。

特別な工法でもない、安くもない、という会社であった。

当然、紹介は少ないしホームページからの反響などもない。

そんな会社が仕事を増やすには、新たなお客様を営業マンが自力で発掘してくる他なく、その方法はビルを一軒一軒回って仕事がないか聞いたり、そこの仕事を請け負っているゼネコンを聞き出して、そこの事務所に飛び込み営業して仕事を振ってくださいとお願いすることであった。

しかしながらこの方法は、この会社にとっては新規顧客を得るためのやむを得ない手段であった。

紹介もない、ホームページ反響もない、となれば、あとは営業マンの尻を叩いて飛び込み営業させて市場調査させ、その中のわずか数%の可能性に賭ける。

これしかないのである。

私はこのような状況に追い込まれてしまっている会社は半ば詰んでいると思う。

この会社に勤務し続けることは消耗戦に入るだけなので、思い当たるフシがあれば、冷静に見極めてほしい。

前置きが長くなったが、それでも飛び込み営業をせざるを得ない人のためにテクニックをご紹介する。

「とにかく帰って」が大前提

まず飛び込み営業について、お客様の立場に立って考えてみよう。

個人宅ならば呼び鈴が押され、会社のオフィスであれば受付の電話が鳴る。

「どちら様でしょうか」

と尋ねると

「◯◯(会社名)の田中でございます」

と名乗ってくる。

はて、聞いたことのない社名だな。

「どんな御用件でしょうか」

と聞けば

「私ども◯◯を取り扱っている会社でございまして、私この度この地区の担当となりましたのでご挨拶に参りました」

と言う。

この時点で「営業か」と判明し身構える。

この時、もしかしたらその商品やサービスをとても欲しているタイミングであれば話を聞かせてください、となるかもしれない。

そんな偶然あるわけが…と思うところであるが、意外や意外、1%くらいの確率でそういうタイミングに当たることがある。

完璧に0%であれば飛び込み営業などこの世から消えるのだが、このような1%の偶然、ラッキーパンチがあるがためにこの世から飛び込み営業のローラー作戦というものは無くならない。

しかしやはり、多くのパターンではそのようなタイミングはないわけで、99%は断られてしまう。

ただし、その99%のうち、もしかしたら10%ほどは今すぐではないが潜在的にお客様候補になる可能性があるかもしれない。

しかしいきなり飛び込みをして不審感を抱かれている時点で、お客様には「警戒」「拒否」の構えが完成してしまい、話を聞いてもらえなくなる。

これは我々が動物である以上、致し方ないことだ。

瞬時の判断を強いないようにする

見ず知らずの怪しい他人が自分の家やオフィスに、突然、物理的にやってくるのである。

シンプルに怖い。

そのため防衛本能としてすぐに追い返さなくてはという闘争心が湧く。

しかも瞬時の判断を求められることもあり、この場合は「とりあえず追い返す」が最善の手段となってしまう。

もしかしたら有用な営業マンかもしれないけれども、その場その場の一瞬で冷静に判断できない人が大多数だろう。

急襲を受けてパニック状態になり「とにかく帰ってほしい」という動物的な感情に支配されてしまうからだ。

これは心の準備と、事前情報が全くないために起こる反応だ。

ということは、逆にいえば心の準備と事前情報を十分に入れておけば、勝負になる可能性が残されるということである。

お客様に瞬時の判断をさせないことにより、「とりあえず断る」を発生させないことが、案件の取りこぼしを防ぐ。

私の経験では、この点を意識して対策したところ飛び込みをして話を聞いてもらえる確率が10%だったところが50%ほどにはなった。

結局のところ、全ての営業マンに平等に案件もチャンスも降ってきているのだが、それをキャッチするのが上手い人は結果的に新規開拓ができたり、結果的に売上を大きく伸ばせる。

これを読むあなたには、最大限のチャンスを得てほしい。

次項ではそのための組み立てを説明する。

続き:飛び込み営業の作法(実践編)

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