ボディランゲージの活かし方

接近戦

第一印象を決める「視覚」については、これまで服装髪型・眉などについて解説してきた。

これらの多くは「モノ」を整えるものだった。

適切なモノを買い揃えて装備したり、適切な方法で整えれば、それだけでクリアできる。

今回説明するボディランゲージは、いわば「技術」としてあなたが身に付けるべきアクションとなる。

ここまで、服装などの「見た目」を適切にしてきた。

これで、まずは第一関門は突破できる。

この第一関門とは「コイツは怪しい奴なんじゃないか?」とか「信頼できそうか?」といった、いわば動物的な本能に訴えかける第一印象である。

そして「聴覚」の第一印象に関わる話し方と、本記事で説明するボディランゲージとを合わせて、最初の第一印象が完成する。

お客様は営業マンに何を求めているのか?

ボディランゲージの具体的な説明に入る前に、そもそもお客様は営業マンに対して何を求めているのか?をしっかり理解しておくことが必要だ。

これがわかっていることによって、単純な暗記ではなく、なぜボディランゲージが必要なのか?を深く理解して、正しく実践することができる。

結論から述べると、お客様は営業マンに対して優位に立ちたいと思っている。

根も葉もないが、この一点が結論となる。

つまりは、お客様というのは営業マンに対して、こう思っている。

  • 自分の要求、無理を聞いてほしい
  • 自分に都合よくレスポンスしてほしい
  • 自分を大切なお客として特別扱いしてほしい
  • 自分を最優先してほしい

…といった感じで、とにかく自分をキング扱い殿様扱いしてほしいと、お客様は思っているのだ。

もちろん、その態度があからさまな人もいるが、謙虚なお客様であっても、このようにキング扱いされるともちろん嬉しいものである。

そのことは、自分がお客の立場になると、より一層理解できる。

レストランに電話して、急な予約をねじ込んでもらったりとか、

懇意にしているお店から特別なオマケや値引きをしてもらったりとか、

協力業者に夕食をご馳走になったりとか、そういうことである。

そういう特別扱いをされて嬉しかった経験は、誰しもきっとあるはずだ。

だからあなたのお客様も、表には出さないけれども、そのような特別待遇を望んでいるのだ。

これは名著『人を動かす』の奥義である「自己重要感を感じさせる」にも通じる。

初回の接触でマストなこと

さて前項にて、お客様は特別扱いを望んでいると述べた。

前項の例では、値引きや物品などの特別扱いということで、お金や物質的な優遇を例として挙げたが、これはいざ「購入」の段に至ってからの話である。

そこに至るまで、が営業マンには大切で、難しい。

この「購入」へ至るまでの道筋を分解すると、最初の最初には「はじめまして」が必ずある。

このとき「第一印象」がお客様に植え付けられる。ここが最初の勝負となる。

先ほど、お客様は営業マンに対して優位に立ちたいと思っている、と述べた。

ならばこの最初のコンタクトの際に、その「優位」を感じさせてあげること。

これが非常に重要だ。

「あっ、この営業マンは自分を大切にしてくれているな」と感じさせてあげることが大切だ。

これはこれまでの服装や髪型、話し方や話している内容だけではうまく伝わらない。

うまく伝えられるのはボディランゲージによってのみである。

ボディランゲージでこそ伝えられること

お客様に「優位」を感じさせてあげるには、どうすればよいのか。

それは、自分が劣位であると示すことである。

それは、ボディランゲージが非常に直感的で、伝わりやすい。

例えば野生動物の世界には、ボスに対して見せる服従のポーズがある。お腹を見せたり、目を逸らしたりして、敵意がないことを示したりする。

人間も全く同じで、このような言語を用いないノンバーバルなアクションによって相手と自分の地位の高低を推し量るのである。

現代においては下記のようなアクションが、劣位を伝えられる。

  • 頭を下げる
  • 姿勢を低くする
  • 控えめな態度をとる
  • 一歩退がる
  • うなだれる

要するに、一昔前のペコペコしてるサラリーマン像そのものである。なんだか、なさけなくてカッコ悪いなぁと思うかもしれない。

だがそれがいい。その弱い感じがいい。

これらの態度によってお客様は

「おっ、この営業マンは自分のいうことを聞いてくれそうだぞ」

「多少の無茶も飲んでくれるかもしれないな」

好感を抱く。

その好感がつまり、第一印象が良い、につながるのだ。

ここは欧米ではなく日本です

このような服従的で、劣位な態度は欧米では好まれない。

自分の主張を通すには、優位に立たなくてはならないからだ。徒らに自分の立場を低くしてしまうと、不利な条件を押し付けられる、というのが欧米の常識だ。

しかしここは日本である。

この国は、大昔からずっと、劣位のアクションを中心とした文化を持った社会であった。

いわゆる「礼儀作法」と呼ばれる、江戸時代から連綿と続くこの文化は、現代では薄まりつつある。

しかしそれでも、日本人の深層心理に今なお根付いている。

近年では「マナー」と呼ばれるようになったこの社会通念上のしきたりは、あと20年ほどは消滅しないであろう。今50代の人々が引退するまでに、それくらいの時間がかかるからだ。そういう世代が社会から卒業しない限り、この文化は社会からは消えない。

我々営業マンが相手とする「お客様」もそういう世代に属すことが多い。

特に決定権を持つような人は年配になるだろう。彼らは、このような礼儀作法や常識、マナーといった概念で生きている。

そんな彼らに効くのが、先述の劣位アクションなのである。

  • 頭を下げる
  • 姿勢を低くする
  • 控えめな態度をとる
  • 一歩退がる
  • うなだれる

これらは、お客様に優位を自然に感じさせることができる態度・アクションである。

なにも魂を売り渡すわけではない。我々営業マンの目的はただ一つ、買ってもらうことである。

そのためのテクニック・ツールのひとつとして、この劣位アクション・ボディランゲージを使いこなしていこう。

参考書籍

ここまで偉そうに書いてきたが、このことは僕が発見したことではない。

僕が駆け出し営業マンの頃、いろいろ悩んで読みあさっていた営業関連の本で、このボディランゲージの極意を教えてくれる本があったのだ。

それがこちら『営業マンこれだけ心得帖』馬渕 哲・南條 恵 日経ビジネス文庫2008

本記事で紹介した「劣位アクション」がなぜ有効なのか、そして営業マンとしての精神も、大変実践的に述べられている。この本には僕も多くのことを教えてもらった。

もちろん、お客様だけでなく、社内の人間関係を良好にすることにも役立つ。

ボディランゲージをうまく駆使して、相手の懐に入り込もう。

続き:嗅覚は絶対に守れ

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