革靴の爪先と素材について

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知識習得

前回は営業マンが選択すべき革靴の色と種類について説明した。

続いて、本記事ではディテールとなる「爪先」について説明していく。

この爪先、侮るなかれ。靴にとっての「顔」となる爪先の醸し出す印象は、非常に大きい。

大きな分類では同じでも、爪先の形状や装飾でかなり印象は変わる。

また革の種類や仕上げについても説明する。

営業マンとして好ましいものと、そうでないものを見分ける指標を身に付けていこう。

つま先の仕上げ

つま先の仕上げにも種類がいくつかある。フォーマルな順から説明する。

ストレートトゥ

つま先に横一文字に縫い目があるタイプで、キャップをかぶせたように見えることからキャップトゥとも呼ぶ。

最もフォーマルなタイプで、営業マンとして安全牌の中の安全牌である

大抵が紐式と複合するので、内羽根、外羽根とポピュラーなデザインだ。営業マンは歩きも多いので外羽根ストレートトゥを1足持っておこう。結婚式やお葬式にも使用できる。

最もフォーマルなのは内羽根ストレートだが、営業マンは外羽根でも問題はない。後述するがこの内羽根ストレートを意図して選んでいて、かつ手入れがちゃんとしている人は靴好きだから話題を振ってみよう。

プレーントゥ

爪先に装飾等が何もない、フラットでプレーンな仕上げだ。

内羽根と複合することはほぼなく、紐の外羽根か、シングルモンクと複合するパターンがほとんどだ。

起源としてはややカジュアル寄りになるが、営業マンとしては問題ない。

ただし、履きジワがつきやすく、目立ちやすいので、シューキーパーを用いての手入れが最も如実に現れる靴でもある。

Uチップ

縫い目がUの字状に入っているタイプで、ややカジュアル寄りになる。

この縫い目部分が隆起しているタイプもあり、カジュアル度はそこにも左右される。ただ、ものすごくカジュアルというわけでもないので、靴でわずかな「ハズシ」を作りたい時に検討できる。

だが、営業マンとしてはあえて選ぶ必要性はない。

ウィングチップ

要注意な一品。羽根(ウィング)のようなWの字の縫い目が入っているタイプ。

時にメダリオン(飾り穴)が複合するタイプが多い。これはカジュアル寄りなので営業マンとしては、選択する必要性はない。

なぜ要注意なのかといえば、このウィングチップディスプレイされているととてもカッコイイというところだ。

靴単体としてみればとても美しい。

しかし、いざこれを履いてみると靴だけが華美で、とても目立ってしまう。

茶系は言わずもがなだが、黒系であってもかなり主張が強い。攻めすぎている。

営業マンには不適な靴と言える。

スワールモカシン

縦に2本のラインの縫い目をもつタイプ。

その形状から、脚を長く見せる効果があるとのことであるが、そのような由来があることも踏まえると営業マンには不適と言える。見栄を張る必要はないからだ。

私が見てきた経験では、合皮の安い靴に採用されているパターンが多い印象だ。

しっかりしたメーカーにはあまりないタイプの仕上げだと個人的には体感する。

こちらも、ディスプレイされているとカッコよく見えるのだが履くとなかなか、スーツと合わせいくい。靴だけが浮いてしまう。

つま先の形状

靴の顔となるつま先には「形状」も種類がいくつかある。前項の「仕上げ」も重要だが、「形状」もフォーマルとビジネスの比率を操作するポイントなので基本を押さえよう。

ラウンドトゥ

緩やかな曲線を描く、スタンダードなタイプだ。間違いがない安全牌。

しかし、ちょっと尖っているタイプもあるので気をつけよう。

スクエアトゥ

ややカジュアル寄りになるが、程度によってはアクセントになる。ただやはり主張が強いので、営業マンがあえて選ぶ必要はない。

ポインテッドトゥ

ホストのお兄ちゃんが履いている。これもディスプレイされているとカッコ良く見えてしまう系の靴であるが、正直滑稽なので選択することはない。

素材と質感

素材は天然皮革と合成皮革に分かれるが、雨の日用を除いて、合皮は推奨しない。

なぜなら合皮は手入れが効かず、損耗していくのみだからだ。

天然皮革は損耗しても、手入れをすると復活し、逆に傷がアジになったりする。合皮はこれがない。

ただ予算の面で致し方なく合皮の靴を選ぶ場合は、使い捨てと心得て、一定以上損耗したら買い換えるという、履き潰しの靴であると知っておこう。

次に天然皮革だが、天然皮革を謳っていてもその中の質にはかなりの差がある。基本的には牛皮だが、その牛の年齢や部位によってはとても硬く重いものもある。

そういう皮と、子牛の柔らかい部位皮で作られた皮は履き心地が全然違うし、手入れの効きにも差が出る(カーフ、キップ、ステアなど牛の年齢などにより呼称が異なる)

また、いわゆるガラス加工という皮は、ピカピカでかっこよく見える。

しかし、実際に履くととても硬い。表面に樹脂加工されているものもあり、それは長く履いていると折り曲がる部分にひび割れが起きる。これは表層の樹脂コーティング層のヒビなので、手入れでは復活しない。

ガラスコーティングの靴は2万円以下なんだけど「本革」を謳っている靴に多い加工なので、それらの価格帯の靴を目で見て、その質感を確認しよう。

著名なメーカーで3万円以上であっても、ガラス加工を並べているので気をつけよう。

また別記事で詳細を説明するが、3万円でガラス靴を確実に脱却できるのはスコッチグレインだ。

続き:結局、革靴は何を買えばいいの?

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